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「通常価格と特売価格の区別」

(更新日: 2015年11月9日 )

 総務省の消費者物価指数(総務省CPI)に対して、日経CPINowの特徴点の一つは、特売価格を調査対象としている点である。総務省CPIは7日以下の特売価格は調査対象外としているが、日経CPINowは全ての特売価格を調査対象としている。
日経CPINow が特売価格を調査対象としているのは、短期的であったとしても一定の値下げ幅以上で頻繁に特売が行われている可能性があり、その実態を把握することは重要であると考えたからだ。
 一方で、特売価格を織り込んだことによって、日経CPINowの動きが「通常の価格」の動きによるものなのか、「特売価格」の動きによるものなのか区別することが課題となった。日経CPINowのリリースに当たっては、価格の最頻値(mode)を取ることで、この技術的な課題を解決した。
即ち、通常の価格とは、その名の通り「一定の期間の基本価格」と考えられる。
これを我々は統計的に「ある日t の通常価格を[t-T,t+T]間の最頻値」として定義し、「通常価格(mode)指数」として算出した。
 こうして算出したmode指数を用いて、2013年1月1日から、2015年9月30日までの日経CPINow・T 指数(総合)を通常価格要因と、特売価格要因の2つに分解したのが下図である。

(mode指数<通常価格要因>と特売価格要因)

図を見ると、日経CPINow・T 指数(総合)が明確に上昇基調になった2015年4月以降を境に、通常価格の上昇も明確化したことがわかる。

渡辺努
株式会社ナウキャスト技術顧問
東京大学大学院経済学研究科教授